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学位謝礼問題と論文博士問題

小島 茂 〔大学問題研究者)

学位謝礼問題およびその背後にある論文博士制度について読者より批判の声が寄せられた。

">●独協医大:学位論文審査の教授が現金授受 総額4千万円に
http://mainichi.jp/life/edu/news/20090529k0000e040074000c.html より引用

 独協医科大(栃木県壬生(みぶ)町)で01年1月~08年3月に医学博士の学位論文審査を担当した指導教授が、審査後に大学院生らから謝礼として現金を受け取っていたことが分かった。謝礼は教授1人につき、1万~10万円が相場で、判明しているだけで総額約4100万円に上るという。
 大学を経営する学校法人「独協学園」(埼玉県草加市)によると、関東信越国税局の税務調査で現金の授受が分かり、昨年12月から内部調査を進めてきた。01~08年度に審査にかかわった指導教授63人に対し、記名式アンケートを実施し、34人が現金授受を認めた。同大は「今後、学位審査にかかわる金品授受の禁止などを明確化する」とコメントした。
 横浜市立大や東京医科大でも同様の現金授受が発覚。文部科学省は08年3月、国公私立大に対し、学位審査の透明性確保などを求める通知を出した。【中村藍】


一連の学位謝礼問題をみていますと、
今回の独協医大の他、名古屋大、横浜市大、東京医大など、いずれも医学博士の学位に関係したものです。
医師と学位という観点で見ると、その背景には、特種でどろどろとしたものがあるように思えてなりません。
医師でなくても医学博士の学位は取得できるのですが、一般的に医師=医学博士というイメージはまだまだ強いです。
他学位とは違った独特の権威を、そこに感じる人も決して少なくはないです。
学位のない医師や整体師がDM学位を掲げるのもそうした一般の人が抱く権威を意識しているものと思います。
それと、論文博士制度が、教授の個人的な繋がりとか、義理によっている部分のあること、学位の国際化という点からも、即刻廃止すべきでしょう。


">●独協学園、11億円申告漏れ 国税局指摘 追徴は2億円
http://www.asahi.com/national/update/0529/TKY200905290189.html より引用
2009年5月30日9時17分

 学位審査に絡んで教授34人の現金授受が判明した独協医科大学(栃木県壬生町)などを経営する学校法人「独協学園」(埼玉県草加市)が、関東信越国税局から約11億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。同大が製薬会社などから請け負った受託研究にかかる人件費などの計上方法にミスがあったとされ、既に修正申告したという。
 学校法人は、公益法人の中でも実質的な税率が低く、追徴税額は過少申告加算税を含め約2億円。
 学園の説明によると、独協医大は製薬会社の開発研究所や病院などから資金の提供を受け、補助化学療法に関する研究や高血圧疾患の薬剤試験などを実施している。
 こうした受託研究で民間から得た資金は課税対象となり、経費を除いた所得に応じて法人税を納める必要がある。
 同大は、この経費のうち人件費については、研究員らが研究に従事した時間をアンケートで申告して算出してきた。
 だが、国税局から同大全体の収入に占める民間からの提供資金の割合に応じて算出するよう指摘を受けたという。同大独自の研究・試験など、非課税扱いの研究にかかる人件費などとの区別ができていなかった模様だ。
 学園が運営する他の学校でも経理ミスが見つかり、07年度(08年3月期)までの7年分で、学園として総額約11億円の法人所得の申告漏れを指摘されたという。(中村信義、舟橋宏太)


 先の論文博士の件ですが、企業から派遣されている研究員が学位取得をするケースなど、やはり不明朗な恩賞となりやすいのではないでしょうか。


 学位謝礼問題は医学部に限ったことではないが、医学部がニュースでクローズアップされていることは事実である。そして、博士論文や博士号の授与が、不明朗な恩賞になりやすいことも事実である。学術的なものよりも社会的地位のある人々に一種の恩賞としてあたえれば、博士号が権力支配の道具として使われることになる。読者の指摘するように、国際的に通用せず博士号の評価を落とす論文博士制度は即刻廃止すべきであろうし、社会人に対し恩賞的に博士号を出している大学院は厳しくチェックされるべきだろう。
by darmouse3 | 2009-05-30 18:07
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